マジリブログ

つらつら書いてます。

裏切った Mac OS X Lion の正しい使い方

Mac OS X Lion

見事に期待を裏切ってくれました。

発売前ににMac OS X開発の中心人物だったBertrand Serletが退職したり、
モバイル端末用とされている、iOSとの統合という方向性に疑問だったりで、
正直本当に期待してなかったOS X Lionですが、見事に裏切ってくれました。良い意味で。

Snow Leopardと同等に軽い Lion

まず気になっていたOS自体の動作の軽快さ、
LionはSnow Leopardに比べて重くなりそうだな。という心配は無用でした。
よく調べていなかったのもあるのですが、Mission Controlの導入に伴って、
ExposeとSpacesが廃止されていました。(正確にはMission Controlに統合)

ですので、更なる常駐要素が増えて、メモリの使用量が増えたり、
動作が重くなる、といった危惧は実は無かったです。むしろ、メモリの使用量は減った程でした。

先日購入した旧型になってしまった、Core 2 Duoの MacBook Air 11 64GBの場合、
何も起動しない状態での、Snow Leopard起動直後のメモリ使用量は800MB程度だったのに、
Lionでは 650MB 程度と非常にメモリの使用量が少なく起動できます。

また、メモリの管理も強化されたようで、アプリケーションを終了すると、
使用中だったメモリの解放がSnow Leopardよりも早く、確実に行っている印象です。
実際、アクティビティモニタでメモリ状況を見ていると、それが良く分かります。

Lionはマウスを使わない事を前提としたOS

さて、前置きが長くなりましたが、本題のOS X Lionの正しい使い方(個人的に)ですが、
(あ、タイトルは「MacOS X Lion」と書きましたが、正しくは「OS X Lion」デスヨ。)
Lionはマウスを使わない事を前提として、トラックパッドで全ての操作をするように設計されてます。
画面の小さいノート、特に MacBook Air のために作られた、という印象です。
Lionの特徴で最初に挙げられているマルチジェスチャーも納得です。(要因は後述)

ノートを使っていても、自宅でほぼ据え置きとして、マウスを常用していたり、
Cinema Displayのような、大きな外付けモニターを使っていると
Lionの本当の姿は見えないと言っても過言ではないと思います。

Lionではアプリケーションをフルスクリーンで使用するのがオススメ。

2番目の新機能としてピックアップされてるのがフルスクリーンアプリケーション。
一部ではフルスクリーンはWindowsのウィンドウ最大化と同じだ。
最近 Mac に買い替えたWindowsユーザへ媚びを売ってる。
なんて言葉も見聞きしましたが、個人的にはそうではないと思います。

フルスクリーン機能は日常的なアプリの用途には非常に合っている。
Safariでのウェブブラウジング、Mailでのメール、iPhotoでの写真・動画の管理閲覧、
これらの用途は同時に行う事は少なく、それぞれ独立したアクションがほとんどです。

ですから、フルスクリーン機能は画面の余分なスペースを無くし、
効率的な作業と集中を向上させる機能なんです。
さらに、3つ目の新機能として挙げられているMission Controlにも関わってます。

Mission Controlは意識せず使う機能

Mission Controlは10.3 Pantherから搭載されたExpose、
10.4 Tigerで搭載されたDashboard、10.5 Leopardで搭載されたSpaces、
この3つの機能を統合した機能と記述されています。

実はここが一番期待していませんでした。
各機能は非常に便利で、常用できるレベルにブラッシュアップされていました。
これを統合なんて、ぐちゃぐちゃになるだけだろう。と。

しかし、Appleはこれをスマートに仕上げてきました。
ユーザーの使い方自体を変え、機能を統合してきたんです。
特に、ExposeとSpacesの統合は素晴らしいです。

Exposeは全アプリ、全ウィンドウの並列表示ではなく、
アプリ内のウィンドウ選択機能となりました。
機能が削られたように見えますが、これはフルスクリーン機能による影響です。

そしてSpaces、これもフルスクリーン機能に影響を受けました。
今までは作業場所(画面)の切り替え、という意識で使用していましたが、
「アプリのフルスクリーン化」=「デスクトップの追加」となり、
Lionではアプリの切り替えに意識を集中させ、Spacesは意識せず使用します。
アプリの切り替えはショートカット、もしくはMission Controlで行います。

フルスクリーン機能によって必要となったLaunchpad

Dockと機能がかぶる上に、全アプリが並列になるLaunchpadの存在意義が、
実際に自分で使うまでは理解できませんでしたが、
Lionを使っていると、必須の機能だと感じる事ができました。

フルスクリーン機能はアプリ以外の要素を画面外に押しやります。Dockも含めて全て。
アプリのフルスクリーン使用を優先すると、必然的にDockが使いづらくなります。
それをサポートするのがLaunchpadです。

まだ起動してないアプリを起動する場合、今まではDockから起動するか、
Finderからアプリを起動するしかありませんでした。

しかし、フルスクリーンアプリを使用中に、新たにアプリを起動するには、
一旦フルスクリーンをやめるか、Dockが表示されているデスクトップに移動する。
といった行動が必要になる。それはとても非効率です。

そこでLaunchpadです。Launchpadにはフルスクリーン中でもアクセスできます。
アプリをフルスクリーン使用しながら、新たなアプリ起動ができるんです。

アプリアイコンを並べるのはiOSとの統合を強く意識し過ぎたんだろう?
と思ってましたが、フルスクリーン機能には必須の機能となっていました。
これも、とても良い意味で裏切られた機能の1つです。

フルスクリーン、Mission Controlを生かすためのマルチジェスチャー

この2つの新機能はとても便利で、Macの使い勝手をさらに向上させたのは間違いないです、
そして、新機能を生かすのがトラックパッドによるマルチジェスチャーです。

最初はスクロール、ピンチ、程度だったジェスチャーですが、
マルチジェスチャーになってからできる事が多くなっています。
覚えるのも面倒と思うかもしれません。

しかし、このマルチジェスチャーを身につけるかどうかで、
Lionの使い勝手は数倍は変わると思います。
ブラウジングの進む、戻る、アプリの切り替え、ウィンドウの切り替え、
ズーム、ズームアウト、回転等、マウスが本当に要らなくなる。

もちろん、マウスの方が便利な場面も多いです。
特にクリエイティブ作業する人には必須ですし、ファイルを多く扱う人も必要でしょう。
トラックパッドがいくら便利でも、Finderでファイルを複数選択したり、
ダイレクトに1つのファイルを開いたり、移動させたりするには、
マウスの方が断然良いのは確か。

これは業務として使うなら、という状況が主で、
ホームユースではマウスは要らなくなって来ています。
Lionはマルチジェスチャーを覚える事で本当の姿を見せる。そう思います。

LionはMacユーザーを更に増やすための試金石。

ここ数年でiPhone、iOSで初めてApple触れたユーザーは、とてつもなく多いと思います。
そのユーザーを根こそぎMacに取り込もうしているOSがLionです。

Appleは元々ハード屋ですから、最終的にMacを買ってもらいたいんです。
最近はApp StoreやiTunesなどで、デジタルオンラインショップの側面が強いですが、
1つ1つの利益率で見ると Mac 本体の利益率はとてつもなく高い。

それに、ハードはソフトと違って目の前に「物」として存在します。
アプリの乗り換えは簡単でも、ハードの乗り換えは簡単ではありません。
一度Macが良いと思い、ハードをMacに切り替えたユーザーは、
この先長くAppleに利益をもたらすユーザーとなるわけです。

Lionとは話が違いますが、人が「物」として所有したい、
と思う部分は、その物自体が非常に便利だったり、見た目が良かったり、
他の製品には無い革新性があったりする部分だと思います。

ですから、プロダクトデザインを強く意識して製品化する。
というAppleのコンセプトが、これから大きな力を発揮するのではないでしょうか。

Appleには世の中のパソコンを全てMacにするという野望がありますし、
今回のLionは、今までMacを使ってきた人の一部には不評な面もありますが、
Appleの更らなる売り上げ向上、Macの普及には確実に活躍すると思います。

しかし、心配なのはスティーブ・ジョブズですね。
良くも悪くも、Appleは彼の独裁、センスの上で成り立っているのは、誰の目にも明らか。
膵臓がんによる臓器移植を乗り越えてCEOであり続ける彼が、
いつ、Appleを去るのか。いつ、Apple製品に関わらなくなるのか。

既に1度、彼がAppleを去った時に売上は下がり、企業として危機に貧しました。
Appleへ復帰し、今では時価総額でもMicrosoftを超え、世界中に受け入れられたApple。
企業としての真価が問われるのはこれから。それが楽しみでありません。

最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。長文駄文で申し訳ないです。
Lionについてはまた書きたいと思います。
次は、MacBook AirとLion。かな。